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S-Fマガジン2017年8月号 早川書房 2017/06/24刊行

SFマガジンです。

早川書房が発行しているSF小説誌です。以前は月刊だったのですが、現在は隔月刊になっています。

今年(2017年)脳出血で倒れた時、四日間の意識不明の後、どうにか意思が戻ってから私は、SFマガジンが読みたい、とはっきり思ったのでした。

昭和46年(1971年)生れの私は、小学生の頃に栗本薫のグンサーガーにふれ、そこからSFマガジンを読むようになりました。

具体的に書くと、グインサーガのあとがきで毎巻、読者にフレンドリーに語りかけてくる薫くんに、ひかれて、こちらの世界へやってきた、という感じです。

中学になると近所の本屋に毎月、SFマガジンを取り置きしてもらっていました。洋楽や演劇、映画等、少年期の私に大人っぽい世界を教えてくれたのは、不良の先輩などではなく、SFマガジンの誌面でした。

その後、私も年を取って、栗本薫の著作とも、SFマガジンとも疎遠になり、栗本薫は亡くなり、SFマガジンは隔月化してしまって、すっかり縁遠くなってしまいましたが、それでも、死にかけた私がどうにか現世に戻ってきて、読みたい、と思った雑誌はSFマガジンでした。

病床で妻に頼んで、買ってきてもらったのが、その時の最新号であるSFマガジン2017年8月号でした。

この号の掲載内容をネットから引用しますね。

 

スペースオペラ&ミリタリーSF特集
幼女戦記』のカルロ・ゼンが放つ最新作《ヤキトリ》、
《宇宙英雄ローダン》のリブート(再起動)シリーズ《ローダンNEO》など、
この夏はスペースオペラ&ミリタリーSFの注目作が出揃う。
まさに豊穣の時代を迎えたといえる、本ジャンルを特集する。

●Short Stories
〈冒頭特別掲載〉
『ヤキトリ1 一銭五厘の軌道降下』カルロ・ゼン

●Interviews&Articles

・航空宇宙軍史入門 吉田隆一
・《宇宙軍士官学校-前哨-概説》読み始めるなら、今がその時だ。 香月祥宏
・海外ミリタリーSFガイド 礒部剛喜/堺 三保/冬木糸一/宮樹弌明
日本SF大賞『WOMBS』、4つの特色 渡辺英樹

□《ローダンNEO》、開幕!
・《ローダンNEO》刊行までの道 井口忠利
・祝《ローダンNEO》開幕! 刊行記念エッセイ 嶋田洋一/二階堂黎人
・《ローダンNEO》開幕記念描き下ろしコミック toi8

□TVアニメ『ID-0』特集
・『ID-0』エピソード・ガイド 小林 治
・『ID-0』監督・谷口悟朗&シリーズ構成・脚本・黒田洋介メッセージ
・『ID-0』メカニック・デザイナー座談会 海老川兼武片貝文洋柳瀬敬之 司会&構成:小林 治

□追悼・佐藤大輔
・押井 守インタビュウ「小説を読むかぎり、佐藤大輔はそこにいる」 インタビュアー&構成:前島 賢
・描き続けた“一歩先” 銅 大
佐藤大輔 長篇シリーズガイド 大山 格/鹿内 靖/高梨俊一/堺 三保/松浦晋也/銅 大/細谷正充/田中成之

【新連載】
「マン・カインド」藤井太洋

【連載】
●「筒井康隆自作を語る#2 日本SFの幼年期を語ろう〈後篇〉」 筒井康隆 聞き手&構成◎日下三蔵
●「小角の城 第45回」夢枕 獏
●「《椎名誠ニュートラル・コーナー》第56回 惑星のはらわた」椎名 誠
●「プラスチックの恋人〈第4回〉」山本 弘
●「マルドゥック・アノニマス〈第15回〉」冲方
●「忘られのリメメント〈第3回〉」三雲岳斗
●「幻視百景〈第8回〉」酉島伝法

【読切】
●「亡霊艦隊(フアントム・フリート)」谷 甲州
●「プラネタリウムの外側」早瀬 耕
●「《偉大な日》明ける」R・A・ラファティ伊藤典夫
●「鰐乗り〈前篇〉」グレッグ・イーガン/山岸 真訳

【読切コミック】
●「と、ある日のズゥン」宮崎夏次系
●「すこしふしぎな小松さん SFマガジン出張版」大井昌和

 

ざっとこんな感じです。

脳出血の後遺症で、文章どころか自分の名前も読み書きできなくなっていた私は、一字一字たどるように、時間をかけて、SFマガジンを読みました。

子供の頃から好きだったものが、また自分に本を読む力を与えてくれる気がしたのです。

各記事の感想を簡単に書きますね。

この雑誌を読んだ当初、僕は「幼女戦記」を知りませんでした。

僕には長年お付き合いさせて頂いている作家さん(大学の先輩)がいるのですが、「幼女戦記」はその人が誉めていたことで、僕の記憶に残っています。今年の春頃、先輩が誉めていたのはアニメの方で、うちの奥さんが目を通した小説版は、奥さんの後で、私も挑戦したのですが、病後の私では農密度な文章についていけず、いまでも読み終えることができない状態です。人気作なので、「いやいや自分ならバリバリ読めるぜ」という方はぜひ、挑戦してみてください。

SFマガジンの魅力はこういった自分が知らない作者や作品を紹介してくれるところにあります。

そのうち「ヤキトリ」(すでに文庫化されてる)も読んでみたいです。

《宇宙英雄ローダン》は知ってます。ドイツで刊行されている世界最長のスペースオペラですよね。これは、私の中学時代に日本版が100巻を越えて盛り上がってました。長くなりすぎたので、もう一度最初から、リライトしてリブートする、という試みはいいと思います。ローダンは複数作者による作品なので、まるでアメコミみたいですよね。

ミリタリーSFのガイド的な紹介記事が載っています。18作の作品の紹介です。

ハインラインの「宇宙の戦士」やホールドマンの「終わりなき戦い」などのいまや名作枠に入っている旧作は、さすがに読んだ記憶がありますが、「ヴォルコシガン」「紅の勇者オナー・ハリントン」「銀河の荒鷲シーフォート」「宇宙兵志願」シリーズなんかはまったく知りません。

不勉強ですみません。

現在のミリタリーSFシーンを牽引してるシリーズで、私が読んだことがあるのは、「老人と宇宙」と「彷徨える艦隊」くらいかな。

SFマガジンの記事はどれもそうだけど、私に自分の不勉強さと、まだまだ未知の楽しみがあるのを教えてくれて、うれしいです。

つまり現在の翻訳SFシーンを存分に楽しむには、もっとミリタリーSFを読まなきゃダメってことですよね。努力します。

TVアニメ『ID-0』は観ていませんが、この特集で興味を持ちました。また時間をとってまとめて観たいですね。

急逝された佐藤大輔氏についてもよく知りませんでした。佐藤大輔氏を語る押井 守監督のインタビューを読むと、押井監督は人間味の厚い方だな、と思います。私は昔、押井監督がアニメージュに連載していた漫画「とどのつまり」の読者でした。押井監督の初期の実写映画を漫画化したみたいな作品で、カオスで人間くさかった気がします。

アニメの監督で巨匠になる人は、みなさん、それぞれクセがつよくて濃いですよね。

この他、香山リカの連載コラムなどは、私からするとSFマガジン名物の1つで、彼女がいまよりずっと無名だった頃から、私はずっとSFマガジンでのリカちゃんのコラムを毎月、楽しみにしていました。

鹿野司大森望池澤春菜。このあったりの方の文章を定番のように揃っているのが、まさにSFマガジンです。

COCOさんと横山えいじの漫画もSFマガジンにはかかせません。

編集後記の内容がやたら濃いのも、昔からですよね。

と、ざっと語ってしまいましたが、日本国内でSF濃度が一番濃い雑誌はやはりいまでもSFマガジンだと思います。

同社が発行しているミステリ専門誌ミステリマガジンも、私は長年愛読していました。

ただ、個人的に最近は、ミステリというジャンルは好きではあるけれども、やはりやや窮屈なのではないかな、と思っています。それに比べると、SFは限りなく自由ですよね。どちらがいいか? ではなく、いま現在、私がミステリよりもSFな気分であるというだけの話です。

病院からは退院しましたが、私はいまは、隔月でSFマガジンの購入を続けています。

脳出血の46歳にセンスオブワンダーの素晴らしさを感じさせてくれる雑誌、SFマガジンに乾杯です。

今年は、映画ではエイリアンもブレードランナーもSWも公開される、まさにSFの年なのですよね。

日本におけるジャンルとしてのSFの隆盛を願っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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