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『花とアリス殺人事件』 2015年2月20日公開 監督 岩井俊二 Huluにて鑑賞

長編アニメーションです。108分あります。

監督は岩井俊二で、花とアリスの声優は、鈴木杏蒼井優がしています。

先日、岩井監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』2016の感想を書いたので、今日は続いて花とアリスです。

とりあえず、実写の監督が撮ったアニメ作品なので、本気じゃない気がして、これまで観ないでいた本作ですが、観て良かったです。

私の中では、本作が岩井作品No1ではないでしょうか。

そもそもの「花とアリス」は2004年に公開された日本映画です。

監督は岩井俊二鈴木杏が花。蒼井優をアリスを演じました。

高校1年生の仲良し花とアリスが、憧れの先輩をめぐって三角関係になるのを描いた作品でした。

花とアリス殺人事件』 は花とありすの中学時代、2人の出会いの物語です。

2015年制作なので、鈴木杏蒼井優も中学生を演じるのは、さすがに無理があって、アニメで良かったと思います。

お話は、中学生の花とアリスが、殺人事件の謎を解くミステリー、ではなくて、ネタバレしてしまうと、だいたい、殺人事件自体、ありません。

殺人事件があったと思われていた学校の怪談の真相を暴く、かわいいお話です。

別にアニメじゃなくても、人間の女優、俳優でもできそうなお話ですが、それでもこれはアニメの方が良かったです。

いまとなっては、私はとりたててアニメ好きではありませんが、少年の頃は、アニメファンでした。

正直、いまは作品が増えすぎて、とても追いきれないのと、年齢的にもアニメキャラの女の子たちにキャーキャーしたり、恋する気持ちにはなれないので、控えている感じです。

別にジブリがとんでもなく素晴らしいとは思いませんが、アニメは日本が世界に誇れる文化の一つだと思ってます。

ので、アニメという映像表現に対して愛が感じられない、安易なアニメ作品は苦手です。

予算の都合もあるとは思いますが、中にはアニメをバカにしているような映像、シナリオ、音楽の作品もありますよね。

ああいうのを見ると、私は気分が悪くなります。

劇場用アニメの制作なんて、どう考えても巨額なお金がかかります。そこをどう集めるかが、偉いさん方の作品への愛と頭の見せ所だと思います。

私たちは、「王立宇宙軍 オネアミスの翼」1987年公開 総制作費8億円以上や「アキラ」1988年公開 総制作費10億円といった本気でお金と手間暇かけたアニメを劇場で観てきた世代なのですから、制作者の愛のない安っぽいアニメはすぐにそれとわかります。

が『花とアリス殺人事件』はそうではなかった。

きちんと丁寧に作ってあります。

実際にはもう、おばさんと呼んでいい年齢になっている、鈴木杏蒼井優も、しっかり中学生の花とアリスの声を演じています。

両親の離婚で転向してきた有栖川徹子(アリス)と、アリスの向いの家に住んでいて、引きこもり中の荒井花(花)は、偶然にも同じ中学の同級生でした。

好奇心旺盛で行動的なアリスが花の家へ忍び込んだことで2人は出会います。

そして、2人が通う中学で伝えられている怪談、「ユダ殺人事件」の真相をたしかめるために、協力して調査をはじめたのです。

調査は、それなりに計画はあるものの、かなり、いきあたりばったりで、2人は駐車しているトラックの下に入って野宿したり大冒険します。

花もアリスも、どちらも素直なかわいい女の子ではありません。

けっこう気は強いし、口もたっしゃで、ひねくれています。

でも、2人が一緒にいるとお互いに楽しいのは、みていると伝わってきます。

リップヴァンウィンクルの花嫁』の時に書いた現実感のなさが、こちらの作品ではアニメだということもあり、『リップヴァンウィンクルの花嫁』ほど目につきません。

岩井俊二の作品はリアルにみえても、どれもどこかファンタジックなので、アニメとは相性がいいかもしれませんね。

人間が演じるのは、やはりどこかムリがあるキャラクターやお話も、アニメならば可能です。

今回の『花とアリス殺人事件』の続編を望む人はあまりないのかもしれませんが、私は、今度は、実写で、人間で、現在の鈴木杏蒼井優に、30を過ぎた花とアリスを演じて欲しいと思います。

この子たちがいまどうしているのか、本当の人間でみてみたいです。

もうちょっと意地悪に書くと、年齢的に、内面的に、少女じゃなくなったヒロインを岩井俊二監督は描けるのかな? と疑問に思うのです。

若い人のきらきらした瞬間ばかりを描いている岩井俊二監督は、普通に歳をとった30代以降の人たちに興味はあるんでしょうかね?

岩井監督、ご自身が現在54歳で、このままいくと60へとなっていくはずです。

映画作家として、岩井俊二はどんな50、60を描くのでしょうか。

老いた者は、ただただ哀しいだけの人物描写だったら、イヤですね。

宮崎駿などはわかりやすいですが、映画作家には、自分が物語を描きやすい年代があります。少年、少女が得意な人。渋いおじさんがいつもでてくる人。魅惑的な美女を描くのが上手な人と。

二作続けて作品を観て、岩井俊二監督が少女や少女性を描きたいのは、わかったので、で、それ以外はどうなの? と聞きたくなりました。

花とアリス殺人事件』。劇場版らしいていねいなつくりのアニメが好きな方へオススメです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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