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100-49 海獣

100-49 海獣

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誠の郷里の街は、湖と密接している。

日本でも珍しいタイプの、もともとの淡水の湖に、地形の変化で外海が流れこんだもので、地理的にはほぼ湖でありながら、海の生物も生息するようになった。

 うなぎやフグの捕れる湖として、周囲にはそれらを売る店がたくさんある。

釣りやサーフィンなどのマリンスポーツも盛んで、いろいろな意味で地元に親しまれている湖だった。

仮にH湖としておく。

誠は子供の頃から、そのH湖によく遊びに行ったが、大人から、ウドに注意しろ、とよく言われた。

ウドとは、潮の流れが海中でぶつかりあって、渦巻き、そこにいる人はその流れに巻き込まれると身動きが取れなくなり、やがて疲れて溺れて沈んでしまう。

誠の友達もウドの被害にあったし、誠自身も、ウドにはまって溺れかけたことがある。

その時は、ちょうど大きな波がきて、ウドの流れを吹き飛ばしてくれて、助かった。

誠は、大人になるまで、ウドは全国共通のものだと思っていたが、実際には、あれをウドと呼ぶのは、H湖の周囲だけであると知って驚いた。

自分が育った地域は意外と閉鎖的で独自の文化を持っていたんだな、と思ったら。

ウドの件があったせいか、H湖に怪獣Hッシーが出るときいてもそれほど、驚かなかった。

H湖の付近の道路から、それは目撃された。

体長、4、5メートルはある巨大な魚のようなものが、水面下すぐのところを泳いでいたというのだ。

そいつは、しばらく道路から見えるあたりを周遊してから、外海の方へと消えていったらしい。

体長、4、5メートルといえば、普段H湖にはいないサイズの生物だ。

H湖ではさっそくHちゃんと命名され、お菓子やグッズも販売されているらしい。

誠は、TVでこのニュースをみて、郷里の家の目と鼻の先で怪生物が目撃されたこちに、複雑な気持ちになった。

もちろん、被害者などは出ないほうがいいし、自衛隊が駆除にくるような大騒ぎにもなって欲しくない。

これからは、海獣が住む町出身の霊能者とでも名乗ろうかと誠は、思っている。

 

END

 

☆☆☆☆☆

49話めは以上です。

 この100物語は、私が聞いたり、体験してきた怪談と創作のミックスみたいな感じです。

 実話です。

僕の生家のある町で怪獣がでたそうです。

ニュースを見て吹きだしました。

地元の人ものどかな感じでこのニュースを受け取っているようです。

怪生物でも、海の中ならそう怖くない気がしなせんか?

 

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