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100-48 測定

100-48 測定

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幽霊がでる道というのは、どこの地域にもあると思う。

誠が住む地域にも全国的に有名な幽霊トンレルと、事故車が続出する山道があった。

自宅からそう遠くないところにあるので、誠は、たまにそれらに様子を見に行く。

有名な心霊スポットだが、誠自身はそこで霊体験をしたことはなかった。

それよりも、TVやネット、雑誌等で情報が広まっていて、そこらは一種の観光地となっれおり、誠がいった時も、スマホを片手に様子を見に来た感じの野次馬がたくさんいた。

これでは、心霊現象も起きにくいのでは、と誠は思った。

それからしばらくして、そこら辺の雰囲気が最近、変わってきたとの噂を聞いて、誠はまた、その山道を訪ねた。

山道とは言っても、舗装された普通の道路だ。

曲がりくねった勾配のある道が続き、昼でも暗く、外套もほとんどない。

急なカーブがいくつもあるので、視界も悪い。

ハンドルを切りそこなってガードレールを突き破り、崖の下へ転落した車もある。

そんな危険な道路なのだが、最近、夜そこに集ってバイクのレースをしたりする若者が増え、地元のもにだけでなく、県外からも、わざわざ走りにくる者が大勢いるという。

誠が自分の軽自動車でそこへ行って見ると、果たして噂通り狭い道路の周辺に何台もバイクが止まっていて、そこが草レース場になっているのは、一目瞭然だった。

誠も他の連中にならって、道理の脇に車を止め、彼らに話を聞いてみた。

「あのさ、このへん、前は心霊スポットで幽霊がでるって噂だったんだけど、君らは知らないか」

「それ、知ってますよ。てか、オレ、それ見たこちあるし」

「オレもあります」

「それ、超、有名じゃん。しかもだいたいみんな見てるし」

驚いたことにそこにいる若者たちは、みんなここが心霊スポットであるのを知っていた。

しかも大半の者が、ここで幽霊をみているらしかった。

「どんな幽霊を見たの?」

誠が聞くと、彼らは、幽霊は女で、気がつくとバイクに後ろに乗っていた、と教えてくれた。

知らないうちにタンデム状態になってて、そうち、パッと消えてしまったという。

髪の長い若い女で、ノーヘルで、ライダースーツを着ているらしい。

「でも、あれは体はいいけど、顔がな」

幽霊を乗せた者は口を揃えて彼女の顔が残念だったと語った。

崩れているとか、傷があるとかでなく、ただブスなのだそうだ。

失礼な話だが、それは彼女を見たものの素直な感想らしい。

この件が気になった誠は、しばらくその道へ通って、そこへくものたちから、幽霊の話を聞いてまわった。

だいたい夜、1人でバイクで走っていると、いつのまにか後ろに乗っている。なにも言わない。黙って前を見ている。気がつくと消えてる。

総合するとそんな話だった。

しばらくしたある日、その道で大きな事故が起きた。

夜バイクが集っていたところに、大型のトラックが突っ込んできて、何台もバイクを跳ね飛ばし、周囲にいたバイカーたちもひいて、計10数名の死傷者がでたのだ。

誠は、地元の警察とあれこれ縁があるので、事故直後に警察署へ行った。

知っているバイカーが、被害にあっているかみしれない。

署内は大混乱していた。事故の死傷者は、全員、市の総合病院の方にいると聞いて、誠もそちらへ移動した。病院もまたすごい人だったが、誠は知り合いの警官に話しかけられた。

市内で説明のつかない事件があった時に、霊能者ちして参考意見を求められたのだ。

「鈴木さん。ちょうどいいとこ来たね。

いま、ここで出たんだよ」

警官が言うには、ここに運び込まれた死傷者の亡骸を見て回っている怪しい女がいるらしい。

赤いライダースーツを着た髪の長いその女は、亡骸に近づいてきて、その顔を覗き込んで、ダメ、とつぶやくらしい。

遺族やここの職人が、何人も彼女をみているが、何者なのかは、わからない。

「ヘンな話だけど、鈴木さん、心当たりありませんか?」

「心当たりは……あります。

僕もくわしくは知りませんが、彼女は自分の容姿を貶してきた 相手の死に顔を見にきたんだと思います」

「ほう。今日は余裕がないんで、またくわしく聞かせて、ください」

警官は、頭を下げて去っていった。

誠は、それはきっと容易ではないだろうが、彼女の素性を探ろうと思った。

 まだ一度も見ていない、彼女の顔も見てみたい。

 

END

 

☆☆☆☆☆

48話めは以上です。

 この100物語は、私が聞いたり、体験してきた怪談と創作のミックスみたいな感じです。

 

心霊スポットにトンネルや山道は定番ですよね。

僕の家の近所にもあります。

実際、近くにあると意外といかないもんじゃありませんか? 

 

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