いおちゃん
四 (僕がこうして、いおちゃんといおちゃんを引き合わせるのは、運命だったんだと思う。 博士も人間の人生など大いなる運命に踊らされているのにすぎない、って言っていた。 僕が創った、いおちゃんは特別だから、運命の枠からも外れたところにいるんだ。 …
三 (いおちゃんをいおちゃんに会わせるには、僕一人の力じゃむりだ。 でも、それがいおちゃんの願いだったら、僕は叶えてあげないといけない。 望月さんなら、きっと力になってくれる) 孝義を自分のアパートに連れて帰り、いおと対面させた信良は、そのま…
二 信良が孝義のマンションを訪ねたのは、孝義の処分が不起訴に終わってから、数か月後だった。 「やあ、菅原さん。ひさしぶりだね。心配かけて、ごめん」 今回の件でアイドル暴行犯として、マスコミに広く報道された孝義は、どこかすっきりした顔をしていた…
一 菅原信良33歳が収監されたのは、その年の年末だつた。 (ムショに初めて入ったのは、いつだったかは、もう忘れている。 いつでもそうだけどさ、今回の懲役も僕は喰らうつもりはなかった。 いまの僕はシャバを離れるわけにはいかない。 だって僕は、AUC(A…