100-34 秘密-1
100-34 秘密-1
「これは、ほんとに、誰にも誰にも言うなよ。
俺、実はな、昔、友達の家に遊びに行った時に、そこから電話して、女を呼んだ。
知ってる女さ。
昔の話だぜ。
俺もその友達も学生で、その女も同じ高校で、まぁ、知り合いだった。
その女、XXんで有名だったんだ。
結構、かわいかったけど、知ってる男に呼ばれるとすぐに遊びに行くような、そんな女さ。
俺も友達も、そいつが来たんで、ガンガン酒を飲ませた。
酔うとやらせてくれるって噂だったし、俺たちはやる気だった。
はじめはいい雰囲気だったんだ。
話も弾んで、よく笑ってた。
でさ、俺らがだんだんそのつもりで、触ったりしはじめたら、嫌がったから、俺はつい、殴っちまったんだ。軽くさ。いいだろ、やらせろよ、ってさ。
なんか、でも気が付いたら女は本泣きしてて、俺らもマジで熱くなってて、女の服をぬがせて、順番に……
それで後であやまったんだけどさ、結果、俺ら、どちらもあいつとは付き合わなかったし、一回の体だけの清い関係っていうか、まさか、あいつがこんなに早く死んじまうなんて、想像もしてなかったんだよ。
いま、なにをしてるかも知らなかったし、一応、俺としては、あいつが初めての相手だったからさ、反省して、感謝してたんだよ。
男にしてもらったっていうか。
なのに、なんで、死んじまってから、俺のとこにでてくるんだよ。
わけわかんねぇ」
「そうなんですよ。私はアブノーマルな男なんですよ。
正直、SMにも興味があります。
ええ、こうしてデリヘルを経営している人間には、アブノーマルな人もけっこう多いですよ。
仕事とプライベートは分けてますから、自分の店の子には手はだしませんよ。
向こうから指導をお願いされれば別ですが。
私は、この仕事をする前からアブノーマルな人間でした。
初体験もレイプみたいなものでしたしね。
でも、鈴木さん、男なんてみんなそんな感じでしょう?
私が初めての時、私の相手は初めてじゃなかった。
嫌がるフリをして、やらせてくれたんですよ。
楽しんでたのかもしれない。
私はSですけど、それはあくまでプレイですから、本当に相手が嫌がるようなことはしません。
傷付けたいわけじゃないんですよ。
だから、いまこうして、毎晩、私の枕元に女の幽霊に立たれるのは、心外なんですよ。
私は幽霊にカン違いされているのかもしれない。
ねえ、先生、そうじゃないですか?」
「オレは昔から霊感が強かったんです。
だから、オレのところにでてくるんだと思います。
俺はあの女になんにもしてないですよ。
あいつがいろんな男としてるのは知ってました。
そうですね、個人的には、かわいい顔してんのに、汚れだな、って思ってました。
オレ、あいつが接客で働いてたのも知ってたから、いろんな男とあんなことしてるに、接客で普通に笑顔で対応してて、スゲェな、って。
ずっと前に仲間と海へ遊びに行った時に、あの女も他の女と一緒に来たんですよ。で、騒いで飲んで、しまいには、浜でみんなにまわされました。
オレはしてないです。
オレ、汚れとはやりません。
だって、嫌じゃないですか、なんか。
あいつが死んで幽霊になっても、そんなのオレは全然関係ないですよ。
普通に成仏っていうんですか、それができないのも、あいつがそういう生き方をしてきたからで、なんでオレが幽霊になったあいつと会わなきゃいけないんですか?
納得いきませんよ。
先生にお願いしたいのは、あいつにオレのところへ来ないようにして欲しいだけです。
あとはどうでもいい。
オレとは関係ないんだから、オレに顔をみせるな、ってそれだけです。
先生は、あいつ、消したりできるんですか?
存在そのものを消滅させるとか。
もし、追加料金がかからないなら、それでもいいですけど。
話し合い?
それはなしです。
オレはほんと関わりたくないんですよ。
霊感強くて得したことなんて一度もありませんよ。
見たくないものが見えたり聞こえたり。
そうですよね、鈴木誠先生。
先生なら、オレの気持ちがわかるはずだ。
助けてください。お願いしますよ」
END
☆☆☆☆☆
34話めは以上です。
この100物語は、私が聞いたり、体験してきた怪談と創作のミックスみたいな感じです。
今回は続き物です。
この話だけだと不可解な点もあるかと思いますが、次回35話でこのお話は完結しますので、もう少々お待ちください。
少し過激? だったかもしれませんが、このブログの読者さんは、みなさん、大人であられるので、大丈夫ですよね? ダメだった方はすみません。
みなさんのご意見、ご感想、お待ちしてます。