「ブレードランナー 2049」2017年10月27日公開 名古屋ミッドランドスクエアシネマ 2にて鑑賞
ずいぶん久しぶりに劇場でパンフレットを買ってしまいました。820円だったと思います。
僕はSFファンなので、やはりブレードランナーは特別なのです。
世界中の人々に広く愛されたSF映画として、前作ブレードランナーは、今後もずっと映画ファンとSFファンの心に残り続けると思います。
今回の「ブレードランナー 2049」は、ブレードランナーの続編である、というだけで、すでに大きな十字架を背負わされている作品です。
果たして、その期待にこたえられるかどうか、映画館にいる観客のほとんどから、そんな気持ちで観られる映画というのも、なかなか珍しいかと思います。
あらためて前作ブレードランナーのなにがそんなに特別なのか、まとめてみますね。
① まず、観た人みんなに問答無用でカッコイイと思わせるビジュアルを持っていた。その映像を見たくて何度も見ることになる。
② また、①と関連しているが、BGMの力もあって、映画全体に、他の作品にはないSFハードボイルドの雰囲気がある。お気に入りのテーマパークへ行くように雰囲気を味わいたくて、何度も見ることになる。
③ ストーリーは設定あれこれ含めていろいろとややこしく、観終わっても、もやもやした謎が残るので、より深く理解したいと思う観客は、何度も見ることになる。
などなど、スルメ的に味わえば味あうほど、さらに愛着がわいてゆくのが、ブレードランナーでした。
①~③の特徴を持つ、カルトSF映画の古典だからこそ、続編が作られるとは、誰も思ってもいませんでした。
35年後に続編が公開されたこと自体が、多くの人の予想外の出来事です。
さて、それでは今回の作品は、前作を越えられたのか、僕の個人的な意見を述べますね。
最初に結論を書いてしまうと、「ブレードランナー 2049」は、前作を越えられなかったと思う。
というか、ブレードランナーが、観る者に衝撃を与えるタイプの作品だったのに対して、「ブレードランナー 2049」は、ブレードランナーで提示された問題に対して、さぁ、みんなで答えを考えよう!!といった感じの作品だったので、作品のタイプが違いすぎて単純に比べられないというのが、正直なところです。
あれから35年が経ちました。ここでひとつ、みんなで落ち着いて考えてみませんか? みたいなノリなので、そりゃぁ、163分、2時間43分もかかるさ。と思います。
作品が有名になりすぎて、つい忘れがちだったけれど、ブレードランナーは、ブレードランナーデッカード(ハリソン・フォード)が主人公の物語で、「ブレードランナー 2049」はブレードランナーK(ライアン・ゴズリング)が主人公の物語でです。そこに重点を置いてみれば、わかりやすいかのではないでしょうか。
デッカードもKも状況に振り回されて、フラフラフラフラしている主人公なので、観客も、彼らを振り回す状況の方にばかり目を奪われてしまうけれど、主人公二人に関していえば、前作のデッカードは行動する人で、今回のKは悩む人です。
両作品でのこの二人をみていると、ブレードランナーという職業は、悩んで悩んで迷ったあげくにようやく人(レピリカント)を殺すみたいですね。
ネタバレになってしまいますが、Kの物語は今回で終了でしょうから、もし、ブレードランナーの続編が作られても、Kは登場しないと思います。
ハリソン・フォードが健在ならデッカードはでてくるかもしれません。
ビジュアル的には、今回は、前回ほど、オンリーワンのすごい映像というわけにはいきませんでしたが、それでも、ブレードランナーの35年後の続編として、観客をがっかりさせないレベルでは健闘していたと思います。
音楽は暗くて不穏でよかったです。
目の前で展開する物語が、その背景にくらべてチャチなのは、前作も今作も同じです。壮大なバックグラウンドのもとに小さな闘いが描かれるのが、ブレードランナーですよね。
小道具としては、前作でも印象的に登場した空飛ぶ車スピナーが、今回は大活躍します。そろそろ現実世界で乗れるスピナーが発売されてもおかしくなくなってきましたね。
70を越えているハリソン・フォードがスピナーの中でハードなアクションをするのがすごいです。前作も今作もブレードランナーのアクションシーンは、役者さんが肉体的に大変そうなものが多いですよね。今回のハリソンへの水攻め!! は、劇場で観ていて、この場面って、映画的に必要なんだろうか? と思いました。
いくつになってもスクリーン上では、ハリソンはタフガイでなければならないのですかね。
話は横に逸れますが、もう一度、ハリソンがジャック・ライアン役にカムバックして、タフガイな大統領を演じても、十分に需要はあるのではないでしょうか?
今回の記事のシメになります。
「ブレードランナー 2049」は、2017年に撮られたマニアックなSF映画として今後、名を残すと思います。ブレードランナーはブレードランナーとして、「ブレードランナー 2049」は「ブレードランナー 2049」で、それぞれファンに愛されてゆくでしょう。
日本はやはりオタク、マニア層のファンが多くいる国です。
今回、映画館で中高年の男性だけでなく、若い男性、一人で観に来ている女性のお客さんもけっこういて驚きました。
これも日本のマンガ、アニメ文化の力の影響ですよね。
願わくば、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が今後もマニアックなSF映画を撮り続けてくれるのを願います。