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裏世界ピクニック ふたりの怪異探検 ファイル 宮澤 伊織 ハヤカワ文庫JA

怪談ものは好きなので、さくっと読めるラノベを予想して、読みました。今年(2017年)の8月、脳出血で入院していた時の読書です。

さて、病気の後遺症もあってさくっと軽々とは読めませんでしたが、読後感は悪くなかったです。

ネットのブックレビューでもいくつか見かけたように、今作みたいに女の子同士のコンビが活躍するタイプの作品は、いまは、百合(レズピアン)系の作品として判断されやすい時風があるのですね、私は読んでいて特にそうとは思わなかったけれど、私の奥さんは、本作と続編の「裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト」を2冊とも読了して、この作品の、読者からユリっぽいと言われているだろう箇所が苦手だ、とおっしゃっておりました。

彼女に言わせると、作者(男性)が、主人公である若い女の子になりきって、意識して百合的な文章を書いているかと思うと気味が悪い、のだそうです。

まぁね、私の奥さんは本、サブカル好きの正真正銘のX0代の女性ですから、その人からすれば、男性作者が描く百合っぽい描写は、おいおいそれちょっと違うだろ、と感じるのでしょう。

僕はようするに、僕たち男性がBL(ボーイズラブ)的な作品を読んだときに、ついていけない気分になるのと同じかな、思います。

さて、本書、「裏世界ピクニック ふたりの怪異探検 ファイル」は、気にしなければそれほど百合臭が強いとは僕は感じませんでしたが、しかし、主人公がメガネっ子の女子大生で、相棒がミリタリに詳しい美少女、この二人をバックアップするのが、ロリっ娘的ルックスの科学者で、主人公たちの裏世界(異世界)への冒険の目的は、行方不明になったミリタリ美少女の家庭教師(もちろん美女)を探すため、と書くと、この設定からして狙ってるよ。と 言われても、否定はできませんね、はい。

いやでも、個人的に作品を読んで感じたのは、作者の都市伝説愛ではなくて、ミリタリへのこだわりでした。銃や罠、兵器などについていろいろくわしく書いてあります。

都市伝説の怪異たちが現実を侵食している裏世界での冒険だと言うので、もっと、都市伝説研究的な部分へ踏み込んでいくのかと思ったら、そちらはそうでもありませんでした。

「くねくね」や「八尺様」、「きさらぎ駅」などネット発と思われる近年の有名都市伝説系怪談がでてくるにはでてくるけれども、これにはそれほど重きを置いていないので、都市伝説そのものを知りたければ、本書のあとがき等を手掛かりに自分でネットにあたって、オリジナルの怪談を読んだ方がよほど怖いと思います。

ホラーという点では、映画的というか、この小説で私が一番怖かったのは、裏世界での冒険自体よりも、だんだんと複雑になってくる裏世界への侵入方法(強引に連れて行かれてしまう場合もある)でした。

いくら親しい人が行方不明になっているとはいえ、そうまでして何度も何度も探しに行かなければならないのか? 私には、マネできません。

想像もつかないトラップがわんさかある裏世界を探検するのは、ピクニックどころじゃありません。

あんなところ、一度行ったら、頭がおかしくなってしまいそうです。

海外のSFやミステリをたくさん出版している早川書房そのものに思い入れがある、私のような読者の場合は、早川からでているラノベっぽい本ということで食種が動くかもしれません。

2巻の帯には、マンガ化決定との文字が躍っていたので、今後は、マンガから、アニメや実写映画へと進んでいくかもしれませんね。

私はまだ、2巻の途中ですが、すでに読み終えた奥さんによると、2巻ではまだ話は終わっていなくて、これかたも続く気配だそうですので、今回のようにハイペースで一話ずつネットで発表していって、話数がたまると本を発売するという感じになるのかな?アニメはともかくとして本作が、某「ホーンテッド・キャンパス」みたいに青春ライトホラーとして、アイドルなんかが出演する低予算ホラー映画になるなら、ゲテモノ映画好きとして観てみたい気もします。

その場合、出演者のファンだけが観にいく知る人ぞ知る映画になるんでしょうか?

本作は、実はどのエピソードも怪談的というよりも、話のクライマックスはいつもアクション映画みたいになるので、作者の頭の中には、絵として具体的なイメージがすでにあるのかもしれません。しかし、通常の日本映画の予算から考えると、これをそのまま撮影するのはいろいろ難しそうなので、とりあえず、まずは、アイドル主演の低予算映画かな、と思うのです。

最後に、私の本作へのオススメ度を書いておきます。

もし、読もうかどうしようか迷っている方がいたら、参考にしてくださればうれしいです。

10代のラノベ好き。月に何冊ものラノベを読む。・・・読んでおいて損はないです。そのうちアニメや映画になるかも。

20代、たまにラノベを読む。内容が重い本はあまり読まない。・・・たまに読む読書に最適です。気分転換にどうぞ。

30代以降、怪談などが好き。怪談集を期待して読むとがっかりすると思います。・・・怪奇に重きを置くのなら、実話怪談集を読みましょう。

宮澤 伊織 さんのファン。問答無用でオススメです。・・・この作者の今後の柱となるシリーズかもしれません。いまのうちから、応援していきましょう。

私は、たぶん、今後もこのシリーズは読んでいくと思います。

作者が最終的にどんな結末をつけるのか楽しみです。メインキャラの死亡、発狂とかは、さすがにないよね。それはやめて頂きたいです。

 

 

 

 

 

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