「シン・ゴジラ」2016年7月29日公開 ユナイテッド・シネマ豊橋18にて鑑賞
今回、脳出血で、四日間の意識不明と約二か月間の入院生活を経験して、読書や、映画、音楽鑑賞(どちらも、ただ観る、聴くだけ)といった趣味が、自分にとってかけがいのない大切なものであるのに気づきました。
ですので、今後は、本だけでなく映画や音楽の感想も書いていきたいと思います。
「シン・ゴジラ」2016年7月29日公開の日本映画。
総監督・脚本 庵野秀明 監督・特技監督 樋口真嗣 音楽 鷺巣 詩郎・伊福部 昭
119分
興行成績 82・5億円
「シン・ゴジラ」。劇場公開時、僕は、妻と一緒に観にいきました。
僕はゴジラ映画が好きです。昭和46年生まれの人間なので、初めてリアルタイムで劇場で観たのは、1984年の「ゴジラ」でした。それ以前の作品は地上波TVでの放送や本からの情報で補って育ってきました。
大人になってからは、ビデオや衛星放送などで比較的容易に旧作を何度も観ることができました。
僕にとって、世界に通用する日本の映画スターはゴジラです。
子供の頃の夢は、ゴジラの足の裏を眺めながら、踏み潰されて死ぬことでした。
ゴジラのなにがそんなに素晴らしいのか? と聞かれても、結局、ゴジラはゴジラだからいいんだ、としか説明できないくらい好きなのです。
「シン・ゴジラ」に関しては、 庵野秀明が総監督すると聞いた時から、これまでで一番難しいゴジラを創るんだろうな、と思っていました。
僕の庵野監督の印象は、なんでも難しくしてしまう人、です。
ロボットアニメをこれまでになく難しくしたのがエヴァンゲリオン。
はたして発表された「シン・ゴジラ」のキャッチフレーズは、「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」。やっぱり庵野監督は、ゴジラを難解化しようとしている、と思いました。
アニメはともかく実写映画の監督として、興行的に成功したことのない庵野監督で果たして大丈夫なんだろうか?
日本に上陸したゴジラを前にして、思春期の少年、少女がえんえんと悩むような、奇ッ怪な作品になったら、どうしよう。などと、余計な心配もしました。
また、もう一人の監督の樋口真嗣も、実写版「進撃の巨人」で多くの人を失望させたばかりで、失礼ですが、映画作りにおいて、一般観客の反応を第一に考えているとは思えない監督さんです。与えられた予算、時間枠の中に収まるお仕事はしてくれるでしょうが、さて難解監督とお仕事監督のコンビで全世界に多くのファンがいる大スターゴジラに相応しい作品は完成するのでしょうか?
ゴジラ映画には、失敗作と呼ばれているものもいくつかあります。
例えば、世界中の誰からも評判が悪かった1998年のローランド・エメリッヒ監督のGODZILLAなどがそうです。
あの作品も僕は公開当時劇場で観たのですが、単純にこの監督はゴジラがわかっていないんだな、と思いました。魚を食べて卵を産むワニに似た突然変異の巨大生物は、当然ながらゴジラではありません。
こんなもの作って、どういうつもりだ? と本気で腹が立ちました。
話は戻って今回の「シン・ゴジラ」の感想です。
公開から一年以上が過ぎ、もうじき地上波でも放送される、という現段階で僕が思うのは、ゴジラというのは、僕にとっては神話なのだな、ということです。
特定の宗教を信仰していない現代日本人の多くにとって、神話的なものというのは馴染みが薄いのではないでようか。
これまで、ほとんどの作品の中で、人間の力では到底及ばない絶対的な力を持つ存在として、ゴジラは描かれてきました。
こうした人の力ではかなわない、恐ろしいものの物語を繰り返し描いているのが、ゴジラシリーズだと思います。
ガンダムファンの友人に言わせると、戦後世代の日本人の僕らは、現実の戦争は経験していないけれども、ガンダムで「一年戦争」を経験しているのだそうです。
それと似たような感覚で、僕らは神の怒りをまのあたりにした経験はないですが、何度もゴジラに国土を踏みにじられ、その恐ろしさは知っています。
文明も発達して、社会も安定して、僕ら日本人の多くは平和に暮らしているけれども、ゴジラがその気になれば、この平和なんて一瞬で消し飛んでしまうんだぞ。「シン・ゴジラ」は改めて、それを伝えてくれました。
もともと第一作めの1954年公開の「ゴジラ」が反戦、反原子力の映画だったのを今回の庵野秀明・樋口真嗣 も忘れておられないのだと感じました。
ずっとゴジラを観ている自分のような人間にとっては特に、ゴジラは痛快な怪獣アクションエンターティメントではなく、苦さやつらさのある作品であって欲しいと思います。
劇中、出来得る範囲でリアルに再現した現代日本国とゴジラを戦わせたのはお見事でした。
そして、ゴジラの前で日本がほぼ無力で蹂躙されてゆくのも十二分に説得力がありました。
ゴジラとはそうあるべき存在なのです。
いまのところ「シン・ゴジラ」の続編は作られる予定はないようですが、もし、今後も日本で実写のゴジラ映画を製作してゆくのでしたら、ゴジラという存在に敬意を払えるスタッフに、制作していただきたいです。
ゴジラファンとしてお二人に「シン・ゴジラ」を作ってもらえて、本当によかったです。
世界のムービースターであり、また日本の国民的スターでもあるゴジラとまた関わることがあられたら、よろしくお願いいたします。
僕、個人としてはお二人の映画を今後も楽しみにささえていただきますね。
長文、失礼しました。
本日は以上です。