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最も危険な遊戯 1978年公開 89分 日本 東映 村川透監督 主演 松田優作 

探偵はbarにいる」に、足りないものが、ここにはすべてある。

昭和の東映ハードボイルド映画です。

低予算ながら大ヒットした本作は、日本映画で最も利益を上げた作品の一つと言われています。

平成も終わりが決まった現在、昭和生まれの人間としては、いよいよ昭和が遠くなっていく感じがします。

映画にしても、ざっくりわけても、やはり、昭和の作品と平成の作品は違います。

例えば、今回の「最も危険な遊戯」などは、その最たる例ですが、大げさでHで荒々しくて、荒唐無稽で、男性的。昭和のエンタメ邦画の主な要素が、ここにはすべて詰まっています。

松田優作演じる、主人公鳴海昌平は、殺し屋というか、裏世界のなんでも屋的存在で、金さえもらえれば、殺しだろうがなんでもします。

しかし、普段は、ケチな賭け麻雀で負けて袋だ叩きにされていたりと、オチャメな1面もあります。

大企業にうん千万もの金を積まれて、裏の仕事を依頼される、鳴海。

仕事の進め方はもちえろん、暴力、脅し、殺しもあり、目に入った女はその場で犯す、派手で非合法なやり方です。

当然、敵対組織に銃撃されたりもするのですが、撃たれても、ジンの酒吹雪で消毒して、自室のベットに横になるだけの荒っぽい治療法?

若い人からたまに聞く、

「昭和って、すげぇ」

という表現がそのまま当てはまる、内容です。

私は、松田優作の、いつでもどこか、体制側に不満を感じているふうな、そんなふてぶてしさが好きなのですが、いま、こうしたカッコイイ不良の芸能人を邦画で見かけることがありませんよね。

今回、ずいぶん久しぶりにこの映画を見返したのですが、1時間29分の短さもちょうどよいですし、ほどよくアクションもあって、退屈しませんでした。

ビルの屋上で警官隊と銃撃戦するとか、そこから単独で逃げ切る! とか、でたらめなんですけど、観ている間は説得力を持って描かれていて、手に汗握ります。

女をさらい、車で逃走する敵役たちを走って!! 追いかけて、港まできてから銃撃して、皆殺しにします。

さらに一連の事件の中で、鳴海に惚れてしまった女を抱き寄せ、熱いキスです。

最後におまけで、ストリップ劇場でのズッコケがついてます。

現在、最新作が劇場公開されている「探偵はBARにいる」は、1、2作目はみました。昨年公開された「日本で一番悪い奴ら」もそれはそれとして楽しめました。

これらの映画は、かって本作が担っていた男性向け邦画エンタメのティストを現在に甦らせようとしているものだと感じます。

一見、同じようにみえるのですが、「新宿スワン」や「土竜の唄」はやはり違うのです。

マンガが原作だからでしょうか。

私には、それは劇映画へのこだわりの差だと思います。

今作はそれが顕著だと思うのですが、TVではなく、映画の、木戸銭を払った大人の男性を楽しませる、エンタメという意識がたぶんに働いていると思うのです。

最近の日本のエンタメ映画には、そもそも、その客層の動員がみこめるものが少ないからか、性的な意味に特化したものではなく、男性客向けの作品、というのが、あまり作られていないような気がするのです。

洋画ですが、秋に公開された「ブレードランナー2049」も、あれは基本、コアな男性客にターゲットを絞った映画でした。

制作費との兼ね合いがあるので一概には言えませんが、男性向けのエンタメ映画は、需要はあると思うのですよ。

いまでもVシネマでは、ヤクザ映画は作られています。そういった題材のマンガ、劇画もなくなることはありません。

表にはでてこないだけで需要はあるのです。

現代日本では、アニメや漫画とからみのない、成人男性向けエンタメ作品が、あまりにも作られなさすぎる、と思います。

マンガ原作じゃなくていいんです。女子受けする有名タレントも入りません。アーティストの主題歌もいらない。CGも必要ない。

ただ、野郎どもを90分くらい楽しませてくれる、お話とアクションとお色気があれば、それでいいんです。

ほら、こう書くと「探偵はBARにいる」シリーズがなかなかいい線いってるのが、伝わりますよね。

「相棒」はたしかに面白いけれど、TVドラマじゃダメなんです。

わざわざ、映画館まで男衆が観に行く邦画の普通のエンタメ映画が、私は欲しいです。

いまの観客は、マンガやネットで鍛えられているので、多少、複雑だったり、極端な設定のお話でも、それがおもしろければ、理解して、ついてきてくれます。

今回、「最も危険な遊戯」をみて、この映画が日本映画でも屈指の稼いだ映画であるのを、実感しました。

超大作でなくても、名作でなくてもいいのです。

普通に料金分、90分間、楽しませてくれれば、それでいいんです。

普段の生活もそうですが、過度の贅沢はあきますよね。 やはり、自分の身の丈にあった普通が一番しっくりくるのです。

邦画は、我々、日本人がしっくりくる普通のエンタメを一番、作り出せる可能性のあるコンテンツだと思います。

 

みているうちに、いろいろ、まじめに考えてしまいました。

これからしばらく、普通におもしろい日本映画を探そうと思います。

 

本日は以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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