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2019/6/22(土) 大阪で得たもの

こんにちは。本気で本です。

先日、大阪で開かれたオフ会に参加して、なんというか本当になんでもない時間とでも呼べばいいのか、特に目的もなくのんべんだらりとブログで知り合ったみなさんと会って話して、食べて飲む、という時間をすごしました。

楽しかったです。

そんなこんなな時間の中で、参加者の皆さんから聞いたオススメの本と、僕がその本から連想した本、もしくは映画をここにあげておきたいと思います。

 

まずは、無償でオフ会の幹事役をしてくださった、我らが兄貴!!

id:konma08 KONMA08 (id:konma08) さん。

逆境ナイン 全6巻完結 (サンデーGXコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

逆境ナイン 全6巻完結 (サンデーGXコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

 

 08さんのオススメは、一応、島本和彦の「逆境ナイン」です。

かって実写映画化もされた、あの、9回表、112対3から逆転勝ちする、野球!? マンガです。

上記のような内容なので、ダメな人は あきれるしかありませんが、大丈夫な人は、大笑いしてすっきりできる快(怪)作です。

僕は島本和彦は、小学生の時に「風の戦士ダン」を読んで、その後、週刊少年サンデーで「炎の転校生」をリアルタイムで読んでました。

燃えよペン

燃えよペン

 

 で、「逆境ナイン」と聞いて僕が連想したのが、同じく島本和彦の「燃えよペン」でした。いわゆるマンガ家マンガですが、万人向けである程度、リアルさがあった「バクマン」や「まんが道」とは違って、「逆境ナイン」や「炎の転校生」にもあった島本先生らしさが爆発!!した作品になっています。

08さんは実際は、島本作品では島本先生の自伝的な「アオイホノオ」みたいな方だと思うのですが、そこはほら、サービス過剰というか、周囲を楽しませずにおられないお人がらゆえ、僕は08さんからこの作品を連想しました。

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さらに、かって映画館スタッフをしてらした08さんに、スタッフだった当時、自社の劇場で観て、一番がっかりした映画はなんですか? と質問したところ、邦画なら「輪廻」かな、という返事が返ってきました。

2006年1月7日公開だったこの作品、僕は当時、一観客として、「呪怨」の清水崇監督のJホラー劇場作品として公開初日に期待して劇場へ観に行きました。

個人的にはなかなか気に入っている作品ですが、08さんに即答でディスられたのが、大ショックでした(いえいえ、それほどでもないです。ハイ)

当時映写スタッフをしていた08さんからすれば、パッとしないJホラーで、ガッカリ感以外、もはやストーリーさえ記憶していませんでした。

 

続いて、勉強家でまっすぐな 

 

うらおもて人生録 (新潮文庫)

うらおもて人生録 (新潮文庫)

 

 明さんのオススメは色川武大のエッセイというか、自伝で、色川武大といえば、別名の阿佐田哲也であの「麻雀放浪記」を書かれた作家さんです。

雀士として真剣勝負を重ねた人の自伝がつまらないわけもなく、明さんご自身もギャンブルが好きだった時期があるそうなので、そういった面でもご自身と重なることの多い本なのだろうなと思いました。

「麻雀放浪記」(1984年10月公開)は真田広之が主演した映画も傑作でしたね。

 

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「麻雀放浪記」のLD、いまでも僕の部屋にあります。

数ある角川映画の中でも、ピカイチの完成度を誇る作品だと思います。

 

 世界ケンカ旅 (徳間文庫)

世界ケンカ旅 (徳間文庫)

 

 明さんの色川武大から僕が連想した本は、極真空手の創始者、大山倍達の「世界ケンカ旅」です。色川武大も大山倍達もどちらも戦後の焼け跡になった東京を舞台に大暴れしていた者同士、拳と麻雀、それぞれ武器が違いますが、己の才覚を武器に戦後を生き延び、のし上がっていったところが僕にはダブって見えました。

色川武大はともかく大山倍達の著書はこの本に限らず、本当に本人が書いているのか色々怪しかったりして、そこらへんも昭和のニオイがぷんぷんしますね。

 

天空の蜂 (講談社文庫)

天空の蜂 (講談社文庫)

 

 

 

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

 

そして明さんがオススメしてくれた東野圭吾の「天空の蜂」と、東野圭吾の著作の中で僕がオススメする「どちらかが彼女を殺した」です。

「天空の蜂」は大型スペクタクルアクション映画として実写化されましたよね。

あれはまぁ、数ある東野作品の映像化の中では、中くらいの出来だと思います。

邦画で大スペクタクルアクションに挑戦する志がまず素晴らしいと思います。

で、「どちらかが~」ですが、これ、すごくシンプルなフーダニット(犯人捜し)のミステリで、しかも本文中にはっきりと犯人が書かれていないのです。(親書版で僕は読みました。まだ読んでませんが、文庫版の解説に袋とじ!! で真相についての説明がついてます)

フーダニットに挑戦したい人はぜひ読んでみてください。

犯人は二人のうちのどちらか、物語はそこまでは誰が読んでもわかるように絞り込んでくれます。

気がつけば東野圭吾は日本を代表するミステリ作家になってしまいましたが、以前は乱歩賞(一番有名なミステリの公募新人賞)を受賞したのに、いまいち売れてない作家さんでしたよね。

それがいまでは、僕より8つ年下の明さんが好きなメジャーなミステリ作家としてさっと名前をあげてもなんの違和感もない人気作家になっている。(松本人志も東野圭吾は読んでいるそうです)

やっぱりプロの作家は売れない時期もコンスタントに書き続けることが大事だと思います。

 

三番手は、僕と同学年の

 

 

レ・ミゼラブル 全4冊 (岩波文庫)

レ・ミゼラブル 全4冊 (岩波文庫)

 

  

ダルタニャン物語 全11巻

ダルタニャン物語 全11巻

 
 

くにんさんが親切で、ご自分の世界を守りながら、他者やいろいろなものに対してできるだけ誠実であろうという姿勢で生きている人というのはこれまでのお付き合い!! (文章のみですが)で知っていましたが、この人は、まじめで筋金入りなところがあって、本当におもしろい小説として「レ・ミゼラブル」(ああ、無情の題名でも有名な作品です)をあげたり、また帰りは新幹線の改札口まで僕を送ってくれて(親切&誠実)、そこまでの地下鉄の車中で、赤毛のアンシリーズを読破していることや、デニュマのダルタニヤン物語を読破している話をしてくれました。

ああ、つくづく物語らしい物語が好きな人なのだなぁ、と僕は思いました。

僕は、ああ、無情や赤毛のアンシリーズ、ダルタニアンは主に小学校の図書館で出会い、それゆえに小説読みの基礎的な作品という印象が強いのですが、久し振りに、

「レ・ミゼラブルは世界中で愛されていて、本当にすごくおもしろいですよ!!」(僕が小学生の時、読んだ児童書の抄訳版は物語の途中で本は終わり、最後に、前記の言葉の後、「だから大人になったらちゃんとした版で読み直しましょう」と書かれていました)

とか、

「アンとギルバートの娘のリラ」

とか、

「マシューとマリラ」

とか、

「グリーンゲーブルス」

とか、

「三銃士」

とか、

「リシュリュー枢機卿」

とか、

「ダルタニアンの死に際」

とか、

あれやこれや思い出しました。

やはり、名作は、読者に、読書にまつわる幸せな記憶を与えてくれますね。

 

新装版 たのしいムーミン一家 ムーミンシリーズ (講談社文庫)

新装版 たのしいムーミン一家 ムーミンシリーズ (講談社文庫)

 

そんな、くにんさんとの会話から僕が連想したのが、トーベ・ヤンソンのムーミンシリーズです。

あの、カバに似たムーミントロールの物語は、もともとはマンガでも絵本でもなく、小説として9作品(冊)で描かれたものです。

ちなみに2019年のいま現在、ムーミンの小説全作品が商品として簡単に手に入るのは全世界で日本だけだそうです。

この本は、ちょっと記憶がおぼろげなのですが、僕が子供の頃、図書館か、姉(同じ家にいてそう呼んでいたが実際はいとこ)の部屋にあったのを読んだ気がします。

これが、コワおもしろくて、不思議で、不気味で、簡単には真意のつかめない物語で、僕は子ども心にムーミンって深いな、と思いました。

くにんさんみたいに物語を愛する心を持つ大人の人なら、ムーミンも楽しく読書できる気がします。

僕は自分の奥さんがイマージナルフレンドがいる人なので、ムーミンの物語を作ったトーベ・ヤンソン(女性)のことが他人事には思えません。

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画像は僕の妻のイマージナルフレンド(見えない友達)のクサモチシロウサギの妻が自作したぬいぐるみです。

ムーミンのあのヴィジュアルは、もともとはヤンソンが描いたイラストだそうです。

うーん、他人事とは思えない。

 

さて、次は、すごく人当りがよい人だったので、この人、ストレスたまるだろうなぁ、と余計なお世話で心配に なってしまった 

id:mojinosuke もじのすけ (id:mojinosuke) さん

 

もじのすけさんからは、本さんにオススメしたいと名指しで、ススメられたのが、川端康成の「眠れる美女」で、僕は大学の専攻が国文学で川端はゼミでやっていて、オフ会では、卒論でやったとみなさんに話した気がしますが、そう言えば、それはカン違いで、卒論は遠藤周作で、川端はゼミでやって個人的にハマっていたのでした。

しかし、日本が誇るノーベル賞作家でかなり変態的な作家、川端の作品の中でもストレートに変態的な「眠れる美女」を名指しでススメられると、つい、

「オマエ、ミタナ」(なにを?)

とつぶやきたくなりますね。

「眠れる美女」は薬で眠らせた未成年少女と添い寝する秘密クラブに所属する、社会的立場もあり、裕福な男性たちのお話(ざっくり設定紹介)です。

だから、

「オマエ、ミタナ」

と。

 

眠れる美女 (新潮文庫)

眠れる美女 (新潮文庫)

 

冗談はさておき、僕が好きな川端作品は、「千羽鶴」だったり、「山の音」だったりするのですが、しかし、 「眠れる美女」をススメられた以上、返歌としては川端の変態的作品として名高い「禽獣」を上げざるおえないですね。

「禽獣」は生死の感覚がマヒしている頭のおかしな男が主人公(これまたざっくり紹介)で、物語は16歳で死んだ少女の死に化粧をした母親が、日記に書いた言葉で終わります。

「生れて初めて化粧したる顔、花嫁の如し」

たしかに僕はこいう耽美なのは好きですが、でも、普段から川端レベルで日常を楽しめるほど、テンションや感度を上げているわけもなく、もじのすけさんが推したもう一冊、幸田露伴の「努力論」をみればわかるように、もじのすけさんは、日常から非常に高いレベルで世界を捉えているんだなぁ、と思いました。

こういう折り目正しい読書の痕跡を見ると、勉強というのはこうしてその人の中に痕跡を残すんだなぁ、と感じます。

 

水晶幻想/禽獣 (講談社文芸文庫)

水晶幻想/禽獣 (講談社文芸文庫)

 

 

超訳 努力論

超訳 努力論

 
 
 そして、恐らく昨日のメンバーでは年齢的に一番お兄さんな

 

山猫さんもまた08さんと同じく、周囲へのサービス精神を忘れない方でした。

山猫さんのオススメチョイスに関しては、それこそ小学生の頃から月刊SFマガジンを愛読していた僕としては、SF者の先輩がここにいた!! という感じでしたね。

ハインラインの「夏への扉」といえば、ミステリでいえば、クイーンの「Yの悲劇」と同じで、その分野のファンからすれば、オールタイムベストの鉄板メンバーです。

実際、さすがに最近はかわってきましたが、2000年代はじめくらいまでは、SFファンのオールタイムベストで、1956年発表の「夏への扉」がベストワンに選ばれても不思議でない感じでした。

復讐。

猫。

タイムトラベル。

が好きな山猫さんとしては、その要素をすべて押さえているこの作品は文句なしだそうで、僕は、この作品がずっとSF史に残る人気作なのは、こういう人たちが支えてるんだろうな、と思いました。(作品がおもしろいのは重々、承知しております)

この作品への僕の返歌は、ウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」です。

70年代生まれの僕らの世代のSFファンとしては、1984年発表のこれが、まさに自分達の世代の新しいŞFでした。

ムーブメントとしてのサイバーパンクはすぐに古びてしまったけれど、この物語の魅力はいまも色褪せません。

電脳空間での冒険や、人体改造的なギミック、どこでもない架空のアジアの無国籍的な空間での殺伐としたアクション、21世紀のいまも通用するエンタメSFの要素がぎっしり詰まっています。

一昨年、脳出血で倒れた僕が、意識を取り戻した後、妻に頼んで病院のベットに持ってきてもらい、リハビリの代わりに最初に読んだSFがコレでした。

20、30年ぶりに読んだ「ニューロマンサー」は傷付いた脳にビンビン響きました。

脳を傷つけられ、電脳空間(サイバースペース)へ潜れなくなったハッカー(サイバーカーボーイ)のケイスの苦闘から始まる物語が、自分の状況とシンクロして、リハビリの日々を送る自分を励ましてくれました。

作中のケイスは、もちろん、能力を取り戻し、さらにヤバイ冒険へと旅立つことになります。

2019年のいま、説明するなら、映画「マトリックス」(1999)の御先祖様みたいな作品として、紹介すればわかりやすいでしょうか?

「攻殻機動隊」や「サイレントメビウス」、「トロン」、「ブレードランナー」なんかのノリは全部入ってます。

 

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

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ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

 

 山猫さんからは、映画「たそがれ清兵衛」(2002)や「武士の一分」(2006)などの原作を書いた時代作家、藤沢周平をオススメしてもらったり、「名前が出てこないけど、タイムトラベル専門? の日本のSF作家がオススメだよ」(光瀬 龍?)とお話を聞いたりして、本を友達として年をとるのは、やはり幸せだな、とおもいました。

読んだ本の記憶で幸せになるために本を読むのはアリですよね。

 

しんがりは僕、本気で本ですね。 

小説世界のロビンソン (新潮文庫)

小説世界のロビンソン (新潮文庫)

 

 オフ会で僕がオススメしたのは、小林信彦の「小説世界のロビンソン」です。

僕は小林信彦は高校時代から読み続けていて、彼の本にはすごく影響を受けています。

この人は、本当に小説というものが好きな小説家さんで、この「小説世界の~」は、作家で読書家でもある小林信彦のこれまで読んできた本へのラブレターのような内容になっています。

先日のオフ会で、あれこれ話していたら、08さんから、

「本当に、本気で本やな」

と言われ、実は、非常にうれしかったですね。

活字離れと言われる昨今ですが、活字からは離れても、ディスプレイに映る文字を読む人は年々増えているわけで、物語や文芸を愛する人が減っているわけではありません。

「小説世界のロビンソン」は僕自身が自分の物語への愛(恥ず!!)に自信が持てなくなった時に、いまでも、いつでも、開く本です。

たぶん、いまや絶版なので、BOOK-OFFで見かけたら(おそらく100円本コーナーにあると思う)ぜひ、買ってあげてください。

損はしないと思います。 

Kid A

Kid A

 

 


Radiohead - Kid A (8-bit) [FULL ALBUM]

 

 

OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017 [帯解説・歌詞対訳 / 紙ジャケ仕様/ 高音質UHQCD / 2CD / 国内盤] (XLCDJP868)

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Radiohead - Ok Computer (Full Album Live)

 最後に二つのせた動画は、僕のブログのタイトル「レディオヘッドを聴きながら」の、イギリスの人気ロックバンド、レディオヘッドの代表的アルバムの「KidA」と「OK Comoputer」の8-bit版(ファミコン音楽風に編曲したもの)とLIVE版です。

実際、真剣に読書していると、僕は、周囲の音なんて何も聞こえなくなり、時間の感覚もなくなるのですが(みなさん、ですよね?)それでも気分としては、好きな音楽を聴きながら本を読むってのは優雅でいいよね、と思います。

例えば、電車で本気で読書すると、だいたい、乗り越してひどく遠くまで行ってしまいますよね?

今回のオフ会、この記事が縁になって、内省的で安眠促進なレディオヘッドの音楽を聴いて、少しでも孤独が和らぐ人がいればいいかな、などと思ったりもして。

 

ずいぶん、長くなりましたが、今回は以上です。

また機会があればお会いしましょう。

失礼します。

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