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獄門島 横溝正史 角川文庫

中学時代、御守代わりにいつも学生カバンに入れて持ち歩いていた本です。

2012年11月に編集された週刊文春 臨時増刊 東西ミステリーベスト100でも国内編の第一位に選ばれている作品なので、これに関しては、あまりマイナーな趣味ではないと思います。

ただ、こと読書に関しては、最近、だいぶ疑い深くなっていまして。

というのも、今年の夏、入院中に、病院で読んだ、新聞か、週刊誌の記事に、いまの人気タレントりゅうちぇる氏の言葉が載っていまして、それによると、若者に人気のモデル・タレントのりゅうちぇる氏の義理のお姉さんは、すごい人で、なにがどうすごいというと、彼女はたくさん本を読むらしい、りゅちぇる氏によると、「だって、普通の人は本なんか読まない」のだそうです。私はこれを読んで。すごく衝撃を受けました。若者の読書離れとは聞くけれども、このりゅうちぇる氏の認識が普通なのだとしたら、状況は深刻で、そりゃぁ、出版社はどこも大変だろうな、と。

となると、本を読むのが楽しみで、本を買うのが日々の最大の出費である私なんかは、りゅうちぇる氏からすると信じられないくらい変わった人間、となるわけですね。

うーん。物心ついた時から本を読んできて、読書がそんなに特殊な趣味だと認識したことはありませんでした。

こうなると、この「獄門島」でも、私の、これくらい有名な作品だと、誰でも知ってるよね、という考えは通用しないかもしれません。

ので、簡単にあらすじを書きますね。

時代は終戦1年後の昭和21年10月。

瀬戸内海の中ほどにある小島、獄門島で起きた連続殺人事件。

美しいがどこか尋常ではい、狂い咲きのようなと描写される三姉妹、月代、雪枝、花子が、残忍非常な殺人者の手にかかり、次々と殺されていきます。

犯人の正体はもちろん、思惑もわからないまま、友人の頼みで島に来ていた名探偵、金田一耕助は、事態に翻弄されながらも、やがて事件の謎を解き明かしていくのでした。

だいぶざっくりした紹介ですが、ようするに孤島で起こる連続殺人と名探偵の活躍が楽しめる本だと思っておけば、まぁ間違いはありません。

この作品は、何回も映像化されていますし、マンガにもなっているので、活字を読むのがつらい人は、そちらをみるのもよいと思います。

「獄門島」が私にとって国内ミステリーベスト1なのは、中学生の時、一時期、不登校だった私は、病院へ通ったり、家で本を読んで過ごしていました。

その時、たまたま、まだ同じ横溝正史原作の「悪霊島」の映画が封切られたりしていて、それ以前の「犬神家の一族」や「八墓村」のヒットもあって、私が住む、田舎の本屋には、角川文庫版の横溝正史の本があふれていたのです。

そこでたまたま手にした、「犬神家の一族」がおもしろくて、そこから他の作品にも手をのばし、あれこれ読んだ中で一番、おもしろかったのが「獄門島」でした。

ちょうど時代的には、「犬神家の一族」の映画化を期に角川文庫化された横溝作品が、女子大生の間で流行したりしていたそうです。

横溝作品の持つ妖しい感じが、いまでいうBL作品のように若い女性をひきつけたんだろうと思います。

「獄門島」は堂々とした本格推理小説なのだけれども、三姉妹をはじめとする登場人物や、いろいろな小道具が、どこかいかがわしくて、猥雑な雰囲気があります。

声優の関 智一さんが主宰する劇団ヘロヘロQカムパニー版の「獄門島」は、DVDでみてみると、その猥雑な感じがよくでていた舞台だったと思います。

なんていうのか、横溝作品には、BLや以前は、やおい、と呼ばれていた作品群のような女性陣に人気のあるマイナー系の創作の香がします。

漫画では女流作家のJETさんが描かれている「獄門島」がよかったです。

JETさんは、他にもたくさん横溝作品を漫画家されていますし、エラリー・クイーンやホームズ、アルセーヌ・ルパンまで漫画家しています。ハーレクイン・ロマンスも漫画化されているようでう。

文藝春秋社もイチオシする「獄門島」ですが、マイナーなクリエイターさんたちにも人気があるようですね。

映像化された「獄門島」では実際に着物姿の女性が逆さ吊りになって死体を演じているわけですが、私が目にした中で、一番、インパクトがあったのは、やはり角川文庫版の表紙イラストですね。

十代の時に見た、あのビジュアルが強烈で、いまでも忘れられません。

絵自体はそう派手ではないのですが、ともかく不気味さ、怖さがあります。

角川文庫の横溝正史作品は、どれも表紙のイラストがすごくて、表紙とタイトルだけで、子供が読んではいけない、いかがわしい本みたいな雰囲気をかもしだしていました。小学生だった私は、書店で横溝の本を手にするだけでどきどきしたものです。

「獄門島」は何度も何度も読みました。それこそ、ディズニーランドのように横溝作品を実際にアトラクションにした横溝ランドができればいい、と願ったほど好きでした。

門島へ行って本鬼頭の屋敷に上がってみたかったです。千光寺にお参りに行きたかった。

今回もまた、好きという気持ちだけでブログを書いてしまいました。

もしまだ、横溝正史の作品を読んだ経験のない方がいらしたら、古いものとバカにせずに一度は、目を通されるのをオススメします。

読んでみれば、最近のラノベと、それほど遠くないところにあるのに気づくと思いますよ。 

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