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読んでないかもしれない感想文(4)改訂完全版 占星術殺人事件 島田荘司

天才探偵ミタライ〜難解事件ファイル「傘を折る女」〜

こんにちは。
本気で本です。
本日、ご紹介する作品は、島田荘司の代表作の一つ、占星術殺人事件の改訂完全版です。
僕が占星術殺人事件を初めて読んだのは高校生の頃なのでいまから三十年以上前ですね。
僕の場合、先に読んだのは、名探偵御手洗潔シリーズの二作目である斜め屋敷の殺人で、そこからさかのぼって、御手洗シリーズの一作目にして、作者の島田荘司のデビュー作でもある占星術殺人事件を読んだわけです。

ちょうど、その数年後に、綾辻行人や法月倫太郎らの京大ミステリー研究会出身の若手作家たちによる新本格推理(ネオクラッシック)というジャンル名で売り出された本格推理小説群がちょっとしたブームになり、その流れでマンガの金田一少年やコナンも生まれました。また、島田荘司の占星術殺人事件は当時すたれていた名探偵が不可能犯罪を解明し、また読者もその謎解きを楽しむ形式のいわゆる本格推理小説の人気を復活させ、新本格の作家たちにも、多大な影響を与えました。

ちなみにこのブログの冒頭に貼ってある動画はTVで放送されたスペシャルドラマ、天才探偵ミタライ〜難解事件ファイル「傘を折る女」で、この文章の後にあるイラストは、僕の影響で大学時代から御手洗シリーズを読み続けている僕の妻がイメージして描いた御手洗潔です。

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御手洗潔かも、しれない

えっと今回紹介している占星術殺人事件は改訂完全版なのですが、これにはちゃんと理由がありまして、作者の島田荘司は、他の作家の普通の小説のように、上製本、ノベルズ、文庫本と多くの小説が二、三年ごとに中身の小説は変わらず、本の判型を変えて、二度売り、三度売りをするのをよしとせずに、版を変えるごとに小説の本文に訂正を加え、結果、同じ作品でも最終形態となっている文庫版は改訂完全版と名付けるわけです。
こうなると結局、熱心なファンのいる島田荘司の作品の場合、まず、新作が出版されると、上製本を買い、その後、本文がどう変化したか確かめるために、最終版の文庫本も購入することになるわけです。

僕は、島田荘司の本はいま書いたように、上製本と文庫本を両方買ったりして楽しんでます。が、これは他の人には勧めません。正直、最新作を追うのでなければ、その作品の最終版である文庫本で読めば十分だと思います。

この後、占星術殺人事件の本文について書きますよ。(事件の真犯人は書きません)
占星術殺人事件を読んだことのある方は、これからの僕の文章は読まなくても全然OKです。

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

  • 作者:島田荘司
  • 発売日: 2013/09/13
  • メディア: Kindle版
 

事件は1936年 (昭和11年)に起こります。
自身の娘たちを殺害して、6人のそれぞれの体の一部をつなぎ合わせ、完璧な女性、アゾートを作成するとの遺書を残し、自身も殺害された画家。
それから40年が経過しても、作成されたはずのアゾートは発見されず、結局、画家と6人を殺したのは誰なのかわからずじまい。(画家自身による犯行は時系列的に不可能)
この謎に名探偵御手洗潔(みたらいきよし)が挑み、誰も想像していなかった真相を解明するのだった。
ちなみに作中には、作者である島田荘司からの「読者への挑戦」文が二度、登場します。古き本格推理小説の作法にのっとり、

すべての手がかりは明示された。読者であるあなたに、犯人はわかりましたか?
という内容の挑戦状です。
で、この本を高校時代から、都合何回か読んできた僕が言えるのは、島田荘司の挑戦に嘘はなく、たしかに、作中に読者が真相を解明する手がかりは記されています。
もし、これから占星術殺人事件の謎に挑戦する方がおられるとしたら、読者としての先輩である僕からのアドバイスは、
島田荘司の本格推理小説はどれもそうだが、作品に施された猟奇趣味に意識を奪われると、事件の真相は見えなくなります。いいですか?真相と猟奇(目くらまし)は関係ないですよね。
と、余計な一言でしたね。
とりあえず、かっての江戸川乱歩や夢野久作のなんだかわけのわからない猟奇趣味と、横溝正史やディクスン・カーの名探偵がおどろおどろしい謎を解くクイズ的趣向を楽しみたい方にとって、この作品はごちそうです。
さいわい、この作品自体は、映画にも、ドラマにも、アニメにもなっていないので、幸せなことにミステリ好きで未読の方は、

さぁ、召し上がれ。です。

最後にミステリーっぽいBGMとして、フリッパーズ・ギターの3 a.m. op/午前3時のオプを貼っておきます。
あくまで僕個人のお話ですが、島田荘司もフリッパーズ・ギターも、僕は10代の終わり頃に夢中になった本、音楽でした。1990年代の話ですね。
では、また明日。
失礼します。


午前3時のオプ

 

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