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VOL.3 37.「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」ティム・バートン監督は都市伝説が得意? ダーク・ファンタジィの傑作

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(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

ティム・バートンは80年代から現在まで現役で撮り続けているオタクな映画監督

2008年、日本公開の「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」は、ティム・バートン監督の作品です。

ティム・バートン監督は、80年代から、ハリウッドメジャーでヒット作を作り続けている、それでいて作家性の非常に強い稀有な映画監督です。

高校卒業後、ディズニーからの奨学金を受けながら、カルフォルニア芸術大学へ進学、同校卒業後は、ウォルト・ディズニー・スタジオ のアニメーション部門に就職。

ある意味、筋金入りの映画人として生きてきたティム・バートンは、1982年に短編映画「ヴィンセント」で監督(原案、脚本も)デビュー。

ホラー、ダークファンタジィテイストをこよなく愛するバートン監督の個性は、

1988年「ビートルジュース」

1989年「バットマン」

1990年「シザーハンズ」

1992年「バットマン リターンズ」

と作品内でいかんなく発揮され、多くの信者的なファンをつくりだしました。

死者と生者と幽霊がごちゃ混ぜで大騒ぎする「ビートルジュース」は、僕の高校時代に公開され、観に行った同級生たちにバカ受けしてましたし、翌年の「バットマン」は1人で封切り日に観に行って、初めてのアメコミダークヒーロ映画に衝撃を受けました。

「シザーハンズ」と「バットマン リターンズ」は大学時代のデートムービーで、つまり僕が言いたいのは、バートン監督は、僕自身の青春時代を彩ってきた現役映画作家ということで、彼の作品にはこれまでたくさん楽しませてもらってきましたが、今回、紹介する「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」は、僕は、もしかしてバートン監督の最高傑作なんじゃないの? と思っています。


スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 予告編

イギリスの都市伝説スウィーニー・トッドをご存知ですか?

この映画はもともと1979年の同名のミュージカル作品を原案としたもので、そのさらにネタ元として19世紀頃(1825年~)からイギリストで流布していた客を殺害して金品を奪う理髪師の都市伝説であり、はるか以前の実話が源流であるという説もあります。

イギリスでは、日本の口裂け女やトイレの花子さんのようにポピュラーな都市伝説だそうです。

バートン監督は、この作品以前にも米国の伝説、小説に基づいた、首なし騎士を退治する物語、「スリーピー・ホロウ」や実在の人物ではあるが一部で伝説的に語られている史上最低の映画監督エド・ウッドの人生を描いた映画「エド・ウッド」を制作しており、今回の「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」も既存の物語をバートン監督流にアレンジした作品です。

僕は「エド・ウッド」も「スリーピー・ホロウ」も大好きですし、同じバートン監督の作品で、まるで自分の人生をおとぎ話のようなホラ話でしか語ってこなかった父親の生涯を父親のいまわの際に息子がたどって、そのホラ話の多くが事実だったことに気づく

「ビッグ・フィッシュ」も好きです。 

バートン監督はこれらの本当かウソかわからないけれども魅惑的な物語を映像化するのが好きなのでしょうね。

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写真提供:アマナイメージズ

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写真:Album/アフロ

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画像出展元URL:http://eiga.com

は、各種動画配信サイトでもよく見かけるティム・バートン監督の代表作(僕的には)です。興業的に大ヒットしたものもそうでないものもありますが、あなたがオタク少年的な気持ちの時に観れば、きっとあなたの気持ちに寄り添って励ましてくれる作品ばかりだと思います。

「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」のお話と注意点

「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」は、僕はバートン監督の最高傑作だと思っていますが、はじめから、いつもオタクっぽいバートン監督作品はキライと言う人や、いくつかあるバートン監督のハズレ映画(僕的には)を観ていて、この人、ダメだ! と思っている人は、当然ながら、今回もパスした方がいいです。

都市伝説の映画化とはいえ、キャストは、みんな青白い死人メイクで、映画は全編、薄暗いロンドンの街と室内(病棟や地下室含む)が舞台です。

しかも殺人もたくさん! あるし、人喰いまであって、国によっては残虐描写で18禁止になってる映画です。日本ではR15でした。

プラス、一番の注意点としては、この映画はミュージカル風で、そのため、劇場公開もDVDも日本語吹き替えはありません。

若い人と話していると、字幕読むのは億劫なので、洋画は吹き替えしか観ない、という人が多くおられますが、僕個人としては、「もったいない」と思います。

セリフを口にするところまで含めて演技だと思うので、吹き替えだと、役者の声の演技がわからなくないですか?

英語わかんないから、吹き替えでいいです、と言われますが、かの、スピルバーグが、セリフがなくても楽しめる(話のわかる)映画がいい映画だと言うように、多少、字幕を読み落としても、全体の雰囲気と話の流れでだいたいのストーリーはわかります。

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画像出展元URL:http://eiga.com

昔々、幸福だけれど無知な理髪師がおりました。

彼は美しい妻と幸せな結婚をして一人娘をもうけました。

しかし、ある判事が彼の妻が欲しいがために彼に無実の罪を着せ、15年の刑におわせたのです。

15年後、流刑の地からロンドンへ戻った彼は、スウィーニー・トッドと名を変えて、彼の犯罪(客を殺す)を手伝うパイ屋の女主人ラヴェット夫人(人肉パイを販売)と共に、判事への復讐を目的に殺人理髪店を営み始めるのでした。

商売は繁盛し、一時はこのまま、普通の暮らしをしてゆくのも可能かと思える瞬間も訪れるのですが、やがて・・・

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(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

残虐に人がたくさん殺されるのに楽しい。不謹慎な愉快さだが、

心から楽しい!!

ベースの人殺しの理髪師の話に、「モンテ・クリスト伯」的復讐譚が加わって、さらにバートン監督ならではのブラック・ユーモアも満載なので、この映画、暗くて残酷ですが、かなり笑えます。

映画版は、演劇版の影響が大きなこともあるのか、あくまで客が楽しめるエンタメという側面を大事にした作品だと思います。

人殺しの復讐譚で本当に笑えるかどうか試してみたい方へ、見世物小屋の客引きの気分でオススメします。

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