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普通の心霊体験に限りなく近い。それ以上でも以下でもない。「残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋」(2016)

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画像出典元URL:http://eiga.com

「残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋」は、「白ゆき姫殺人事件」(2014)や「予告犯」(2015)を監督した中村義洋監督の作品で、画像のポスターにもあるように2016年に公開されました。

原作は小野不由美のホラー小説「残穢」で、そもそも僕は小野不由美という作家さんの作品が苦手で、どう苦手かというと、つまり読んでいて退屈で苦痛なのです。

この作家さんが読者になにを、どこを楽しませようと考えて小説を書いているのか、よくわからない。

それでも何度か彼女の作品には挑戦していて、どれも残念な結果に終わっています。

この「残穢」も、最強ホラー小説として宣伝されていて、そこはほら、僕はホラー(怪談)に目がない人間なので、そう言われると、つい手がのびてしまうのですよ。

で、読んでみた「残穢」がまず、僕がそれまで読んだ小野不由美の作品の中では、まぁ、一番、読めたもので、それでもいろいろ文句はあるけれども、ともかく最後まで読了しました。

「原作はまぁまぁとして、これを映画にするとどうなるんだろう?」

そんな興味を持って劇場へ行ったわけです。

 

 結果、いわゆるJホラー映画は数をこなしてきたつもりの僕から観て、ちょっとめずらしいタイプの作品にお目にかかる経験をさせていただきました。

そもそも原作が、作家である私が、読者から送られてきた手紙に書かれた怪奇実体験(実話怪談というやつです)に興味を持ち、その送り主である女性、久保さんと交流を持ち、2人で怪奇現象を解明してゆく、というもので、これってホラー小説ではけっこう定番的な物語展開なのですよ。

原作はどこまでが実話で、どこからが創作なのかわからないていで書かれているのですが、映画はこの原作のテイストをかなり忠実に残していて、主人公の作家の私を竹内結子。久保さんを橋本愛、と美人女優2人をメインに据えながらも、2人に平凡な地味メイク、目立たない服装をさせて、まるで再現ドラマのような手堅い演出で、話をすすめていきます。

観ていた僕は、こういうの僕も経験したことあるな、と思ってしまいました。

怪奇実体験を人から聞いて、その話の裏をとりに行ったり、現場を見に行ってみたり、ホラー、怪談好きなら誰でも? したことがあると思います。

正直、僕はあります。

凝り性なので、かなり深く調べたこともあります。

つまり、この映画は、怪奇体験に遭遇した文系の怪談好きの行動、そのまんまなのですよ。

登場人物たちを襲う怪奇現象が地味なせいもあって、そこにも微妙なリアリティがあります。

作品の後半、とってつけたような派手な演出がありますが、そこは、劇場用映画なので、地味すぎるのもちょっとね。

でも、作品全体がリアル感重視の演出だから、サビースのホラーっぽい派手なとこは最後にまとめて入れとこうか、みたいな感じでした。

後半のそこまでは、目立った演出らしい演出もないような作品ですので、そこまでのタッチがわりと気に入っていた僕は、最後の方でがっかりしました。

よけいなことしなくていいのに、と。

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画像出典元URL: http://eiga.com

主演のお2人は、映画内では、もっと地味で普通な感じで演じておられます。

文系Jホラーとでも呼ぶべき作品だと思います。

「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)がホラーに新しい流れを作ったように、今作のような実験作を重ねて、Jホラーもまた進化していくのでしょう。

この作品は、まさに文系のホラーだと思うので、文系ホラーという言葉に惹かれる人に、こちら、オススメします。
107分とやや短めで、エンドロールの最後におまけの怪奇現象がありますよ。

5点満点中3点(Jホラーの珍品として期待せずにご覧ください) 

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